(裁判所による清算人の選任)
第五十五条の四  前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
参考 旧法(解散)
3 民法第七十三条から第七十六条まで及び第七十八条から第八十二条まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項及び第三十六条から第三十七条ノ二までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。
一般法人法制定に伴う民法改正により民法75条(裁判所による清算人の選任)の準用に代えて第55条の4が新設されました。

裁判所による清算人の選任
前条の解説のとおり、清算法人の代表機関且つ業務執行機関である清算人の存在は、清算業務の円滑な遂行に不可欠であり、その不存在は債権者等に不測の損害を与え社会的な影響を及ぼしますから、裁判所が後見的に清算人の選任ができることとされています。

裁判所が選任するのは、@第55条の3の規定のうち破産の場合は別途管財人が選任されるため除外され、規約で別段の選任方法が決まっているにもかかわらず、その選任がなされない場合と総会が清算人の選任を行わない場合、A第55条の3の規定の原則どおり理事が清算人に就任したがその後欠けた場合と第55条の3の規定による規約や総会で選任された清算人が欠けた場合、Bさらに本条により裁判所が選任した清算人が欠けた場合が考えられます。

欠けたとは、物理的に存在しなくなる本人の死亡(準死亡の失踪宣告を含む)のほか、清算人就任もその法的根拠は委任契約ですから委任の終了原因の発生(死亡の他清算人の破産、被後見)により欠けることとなります。
病気や失踪等の場合は事故あるときといわれ欠けた場合と区別されますが、清算人の職責を考慮すると職務に相当期間復帰できないような場合で本人から辞職しないときは、欠けたに準じて処理すべきものと思われます。

なお、清算人が複数あり、その一人が欠けても清算業務に支障がない場合は、本条の欠けるには該当しますが、損害発生の惧れがありませんから本条の選任は行われません。
本来管理組合法人自身が行うべき清算人の補充を第三者且つ公的機関の裁判所を使って行うのですから、その必要性と相当性が要求されるのは当然です。申立人は利害関係者すなわち清算人の不在により損害を受けるべき者であり、これらの者からの申立てがない場合は公益の代表として検察官も申立てができることとされています。

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