(清算中の管理組合法人の能力)
第五十五条の二  解散した管理組合法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

参考 旧法(解散)
3 民法第七十三条から第七十六条まで及び第七十八条から第八十二条まで並びに非訟事件手続法第三十五条第二項及び第三十六条から第三十七条ノ二までの規定は、管理組合法人の解散及び清算に準用する。

一般法人法制定に伴う民法改正により民法73条(清算法人)の準用に代えて第55条の2が新設されました。

清算中の管理組合法人の能力
55条の3.精算のとおり、管理組合法人が1項の解散原因の発生により解散すると清算に入ることになります。 法人は活動中に各種財産や権利義務を保有し各種の利害関係者と法律関係を生じていますので、法人の消滅にあたりこれらの財産を処分して債権者に弁済し、残余財産を権利者に配分して法人の消滅によりこれらの利害関係者に迷惑をかけないようにしなければなりません。この手続が清算手続きであり、清算中はいまだ現有財産(プラスの財産(積極財産)もマイナスの財産(消極財産))も帰属したままであり、また利害関係者と法律関係も存続しますから、法人の権利能力が存続することは当然です。

この条文は、ようするに解散前は建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行う目的の法人でしたが、解散後は清算を目的にした法人となったということですが、本条の規定は、法人の存在はその目的達成の手段であり、そのことを定めた民法第34条「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。」の法人の総則規定が適用された結果に過ぎないといえます。

効果
一般の法人では解散して清算が完了(結了)すると団体自体が消滅しますが、管理組合法人は区分法第3条の団体が法人格を取得した特殊な法人であり、区分法第3条の団体が消滅しない限り団体自体の消滅はありません。

従って、第55条第1項の3つの解散原因のうち建物全部の滅失と専有部分全部の消滅(全専有部分の合筆等により区分登記を廃止して一棟の登記にすること。単独所有か共有かは問わない)の場合は、区分法第3条の団体自体が消滅しますから、解散は抜け殻になった法人格を整理して消滅させる過程ということになりますが、総会決議による解散の場合は法人の実体としての区分法第3条の団体は存続し、ただ法人格の衣を脱ぎ捨てて法人格取得前の姿に帰るだけとなります。

この場合は、法人の解散と同時に管理組合法人は清算業務に専念することになりますから建物並びにその敷地及び附属施設の管理は区分法第3条の団体が行うことになり、一時的に外形としての管理組合法人と実体としての区分法第3条の団体が分離する特殊な現象が生じます。

なお、解散の結果、管理組合法人の能力は清算の範囲に制限されますから、それ以外のこれまで行っていた建物並びにその敷地及び附属施設の管理を目的とする行為はできなくなります。これが法人の権利能力の制限か行為能力の制限か説が分かれますが、結果は変わらず行ったとしても法人に効力は及ばず、行為した代表者が無権代理人の責任を負うこととなります。

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