(理事の代理行為の委任)
第四十九条の三  理事は、規約又は集会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。

参考 旧法第49条(理事)
7 第二十五条、民法第五十二条第二項及び第五十四条から第五十六条まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第一項の規定は、理事に準用する。

一般法人法制定に伴う民法改正により第49条第7項での民法55条(理事の代理行為の委任)の準用に代えて第49条の3が新設されました。

理事の代理行為の委任
理事は委任契約の受任者ですから原則として自らその業務を執行しなければならず、本人の承諾なく委任事務を他人に処理させると本旨に添った履行とはなりません。
この点に関し、規約や総会決議で禁止されていない限り特定の行為の代理(特定の事務)を他人に委任(実質上の再委任)することができるとされています(49条の3)。
このこと自体は、当該理事の監督下、責任の下であれば具体的事務を他人にさせても委任の本旨に反しないということで、現実にも理事長が他の理事に具体的な事務の一部を分担させていることがこれに該当します。
問題は、理事の地位全般の代理が認められるかですが、法人の執行機関等の原則的な委任にあっては当然否定することになります。
しかし、管理組合の場合にはその目的の範囲が明確で一般に区分所有者であれば特に資格や資質を問わず就任できる地位であることや、区分所有者とその同居の親族ではその資質はもとより当該建物の管理に関して利害関係が共通していることから、区分所有者と一定の関係にあるものとの間で地位の互換性が肯定でき、且つこの地位の互換が実質上の本人たる他の区分所有者の信頼を裏切らない特別の事情が肯定できると思われます。
従って、一般には理事は自己の地位を包括的に他人に代理させることは禁止されますが、同居の親族に委任することは可能であると考えます。
この点、規約にそのような代理の規定が明記された事例(最判平2.11.26民集44-8-1137)で肯定的な判例があり、規約で明記することが望ましいことは確かですが、規約になくとも同様に取り扱うことができると思われます。

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