(成立等)
第四十七条 第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
2 前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
4 管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。
5 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる。
6 管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
7 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
8 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務(第六項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
9 管理組合法人は、前項の規約により原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合においては、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
10 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (平成十八年法律第四十八号)第四条 及び第七十八条 の規定は管理組合法人に、破産法(平成十六年法律第七十五号)第十六条第二項の規定は存立中の管理組合法人に準用する。
11 第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には、適用しない。
12 管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。
13 管理組合法人は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条の規定を適用する場合には同条第四項及び第五項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(管理組合法人を除く。)」と、同法第六十六条の規定を適用する場合には同条第一項及び第二項中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第三項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(管理組合法人及び)」とする。
14 管理組合法人は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法別表第三に掲げる法人とみなす。

参考 旧法(成立等)
第四十七条 第三条に規定する団体で区分所有者の数が三十人以上であるものは、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
2 前項の規定による法人は、管理組合法人と称する。
3 この法律に規定するもののほか、管理組合法人の登記に関して必要な事項は、政令で定める。
4 管理組合法人に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができない。
5 管理組合法人の成立前の集会の決議、規約及び管理者の職務の範囲内の行為は、管理組合法人につき効力を生ずる。
6 管理組合法人は、区分所有者を代理して、第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額を請求し、受領することができる。
 民法第四十三条、第四十四条、第五十条及び第五十一条の規定は管理組合法人に、破産法(大正十一年法律第七十一号)第百二十七条第二項の規定は存立中の管理組合法人に準用する。
 第四節及び第三十三条第一項ただし書(第四十二条第三項及び第四十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、管理組合法人には適用しない。
 管理組合法人について、第三十三条第一項本文(第四十二条第三項及び第四十五条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定を適用する場合には第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定を適用する場合にはこれらの規定中「管理者」とあるのは「理事」とする。
10 管理組合法人は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条の規定を適用する場合には同条第四項及び第五項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(管理組合法人を除く。)」と、同法第六十六条の規定を適用する場合には同条第一項及び第二項中「普通法人」とあるのは「普通法人(管理組合法人を含む。)」と、同条第三項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(管理組合法人を除く。)」とする。
11 管理組合法人は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法別表第三に掲げる法人とみなす。
1.法人化の意味
47条は管理組合法人の設立に関する規定です。
管理組合は建物の管理等の目的のために一定の組織を備えた人の集合たる社団といえますが、いまだ法人の自由設立は認められていませんので、公益を目的とする場合の民法法人と私益(営利)を目的とする商法人(商法・有限会社法)以外の中間目的法人は特別法がなければ法人化ができませんでした(中間法人法で可能となった)。
47条は管理組合を法人化するための特別法に該当します。

管理組合が法人となると何が変わるかというと、あまり変りはありません。
法人化前でも管理組合は権利能力なき社団として事実上構成員とは別個の権利主体として活動を行っていますから当然です。
管理組合として各種契約行為を行い、物品を購入する等日常的な業務については法人格がなくとも何ら支障なく実施することができます。
税務上も権利能力なき社団として法人として扱われ、裁判上もまた同様です。

ただし、権利能力なき社団(人格なき社団ともいう。)は正規の法人格がないため登記上の権利の名義人にはなれず、登記ではその構成員の中から代表者を選任し、その代表者が自己の名で権利能力なき社団のために登記行為を行うものとされていますから、代表者が変更される度に旧代表者から新代表者に移転登記を行わなければならずその費用や手間が大変であり、且つそれを怠ると将来的には名義人との間でその所有権の帰属に関する争いや目的物件の無断譲渡の危険があります。
このことを考えると管理組合が法人格を取得し管理組合名義の登記をすることはそのような諸問題を解消する上で非常に便利であるといえます。
ただし、管理組合自身が登記の必要な権利を取得するのは稀有の例ですから、現実的にはあまり実益のある話ではありません。
更に、将来的に登記手続で権利能力なき社団の社団名での登記が認められればこの問題も解消するものです。

従って、現時点で法人化のメリットがあるとすれば合有のドグマからの開放のようです。
管理組合は管理を実施するに伴い様々な権利義務を有することになりますが、正規には法人格がないためその権利義務は管理組合の構成員全員に総有的(合有的)に帰属し、その管理・処分で区分法に規定の無い事項は民法の原則によるものとされて例えば滞納管理費の放棄には全員の合意が必要と説明されています。
ところが一旦法人化なされるやいなや滞納管理費は法人帰属債権でその放棄も法人の通常事務に属し構成員の過半数の議決でできると説明され、法人登記が管理組合組織や性格に革命的変革を有するような効果を認めています。
しかし、団体自体に帰属するか構成員に帰属するかの団体における権利義務の帰属形態は人格の有無の問題であり権利能力なき社団の理論自体が社団に対し完全とはいえないまでも人格を認めるもので、法人登記は単にその人格を完成させるものに過ぎませんから本来法人化しない時点でも同様の結論が得られるはずのものです。
また、団体の意思決定方法が実体が変わらないにもかかわらず登記の有無で変更されるというのも不可解ですが、構成員各自間の複雑多面な権利関係を構成員と団体とのニ当事者関係に昇華させて取扱いを簡易明確化するのが社団制度のメリットですから法人化でそのメリットを享受できるのなら法人化は組合運営の簡便を図れる有効な手段といえます。

ただし、メリットばかりではなくディメリットも当然存在します。
法人化は設立登記が必要ですが、代表者も当然登記事項ですから役員変更のつど変更登記が必要となりますし、財産目録と組合員名簿の調製が法的義務となり事務の増加は避けられません。

2.設立の要件
ところで、どの法人でもそうですが管理組合が法人化するにも要件があり、旧法では@区分所有者の数が三十人以上の管理組合であること(30名以上の組合員数の集会決議が必要なことから専有部分が共有の場合には1名とカウントされるものと思われます)。
更に、A集会の特別決議でア)法人となること、イ)名称、ウ)事務所を決定し、B事務所の所在地の管轄登記所で設立登記を行うことの2つがその要件でした。
なお、この他代表機関たる理事等の登記も当然必要となります。

ところが、新法により、1項が改正され@の要件がなくなりましたから、管理組合ができれば、即ち2名以上の区分所有者が存在すれば、Aの要件だけで法人となれるようになりました。

@の30人要件は法務省が当時法人化する組合が殺到して登記事務が混乱することを恐れたといわれていますが、法人化のメリットより事務の煩雑化のデイメリットが多いと感じられたためか法人化する組合は少なく、今回の改正に至ったようです。
このように人数要件は緩和されましたが、それが法人化増加の方向に向かうためには現時点では存在しない何らかのメリットがないと難しいものと思われます。

Aの議決で定めるべき事項は当然です。
ところで、一般に社団が社団たるためにはその名称・事務所(事務をする物理的な場所ではなく社団の住所の意味です。)以外に目的・資産・代表の方法・意思決定方法等の基本事項を定めた定款の作成が必要であり、この定款をもって社団法人の設立登記がなされていますが、管理組合法人の場合には全員の合意で本来なされる定款(規約)の作成が特別決議に緩和されている点はもとより目的その他の通常の定款の必要的記載事項の定めも要求されない非常に簡便なものになっています。

法人登記は外部の利害関係者に法人の存在と代表機関等を周知せしめその取引の安全を図る制度ですから、この議決内容の簡素化は管理組合の便宜を図ったというより管理組合という団体の性格や区分法の他の規定からその他の通常必要事項の定めは既に備わっているということでしょう。
Bの登記は法人の設立要件としての所謂設立登記であり、民法の公益法人の登記や不動産登記のように単なる対抗要件ではありません。
従って、この設立登記がなされて初めて管理組合法人が成立します。
尤も、設立登記後の変更登記は対抗要件ですが。

3.名称
管理組合法人の名称は自由ですが、他の法人と区別するため名称中に管理組合法人という言葉を入れることが強制されます(48条1項)。
このことは他の法人と同様であり(民法法人は別)、その代わり管理組合法人でない者は管理組合法人の名称を使用することはできないものとされます(48条2項。民法法人も同じ。民法34条の2)。

4.政令事項
3項でいうところの管理組合法人の登記に関して必要な事項を定めた政令は組合等登記令というもので、関係する部分を抜粋すれば次のとおりです。

組合等登記令
(昭和三十九年三月二十三日政令第二十九号)
26条4項 管理組合法人及び団地管理組合法人の設立の登記の申請書には、第十六条第一項の規定にかかわらず、次の書面を添付しなければならない。
一 法人となる旨並びにその名称及び事務所を定めた集会の議事録
二 第二条第一号に掲げる事項を証する書面
三 代表権を有する者の資格を証する書面

(登記事項)
第二条  組合等が登記しなければならない事項は、次のとおりとする。
 一  目的及び業務
 二  名称
 三  事務所
 四  代表権を有する者の氏名、住所及び資格
 五  存立時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由
 六  別表一の登記事項の欄に掲げる事項

別表一 (第一条、第二条、第十二条、第十七条、第十九条関係)
名称  管理組合法人、団地管理組合法人
根拠法  建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)
登記事項  共同代表の定めがあるときは、その定め

以上の組合等登記令によれば、登記すべき事項はこの政令2条に定める6項目(ただし、5・6号はその旨定めたときに限る。)であり、このうち2・3号の事項は47条1項でその旨定めるように規定していますから、別途政令に基づき議決が必要な事項はそれ以外の事項ということになりますが、1号は3条が建物等の管理と規定していますから、結局定める必要のあるのは4号の理事の選任ということになります。

(設立の登記の添附書面)
第十六条  設立の登記の申請書には、定款又は寄附行為及び代表権を有する者の資格を証する書面を添附しなければならない。
 2  第二条第六号に掲げる事項を登記すべき組合等の設立の登記の申請書には、その事項を証する書面を添附しなければならない。

5.登記の意味
登記の目的から登記すべき事項は、登記した後でなければ、第三者に対抗することができないとされます(4項)。
この規定が意味を持つのは設立後に登記事項が変更されているにもかかわらず登記を怠っている場合でしょう。
そして変更登記の対象項目は名称・事務所(所在地)・理事ですから対抗が現実に意味を持つのは退任した理事の行った行為ということになります。

6.法人への承継の意味
5項では、法人化前の集会決議等が管理組合法人にも効力を有すると規定されています。
法人化前では債権放棄に全員の合意が必要で法人化後では過半数の合意で放棄可能というように前と後で管理組合という団体の法的性質が異なると考える場合にはこの規定は本来そうでないものをそうする特別規定ということになりますが、法人化は管理組合という権利能力なき社団の実体そのままに単に完全な権利能力を付与するに過ぎないと考えるときは元々管理組合という権利能力なき社団に効力があったものが管理組合法人にも効力を有するのは当然であり、その旨の確認規定でしか在りません。

7.管理組合法人の区分所有者の代理権
管理組合法人は法人格がありますから、権利義務の主体となることができ従って代理人にも就任可能です。
そこで、旧法では非法人の場合の管理者の地位を管理組合法人自体に認めて、これに区分所有者の代理権を与えて26条2項の管理者の保険金請求受領権を付与していました。
新法では、26条2項の規定をそのまま用いて、広くその事務(組合法人の目的の範囲内の行為)について区分所有者の代理権を認め、且つ新26条と同様に、損害賠償と不当利得の場合の代理権も明記しました(6項)。

ところで、上記のとおり管理組合法人の場合は法人格がありますから、管理の主体として自ら活動する過程で管理組合法人自体に組合管理費債権等の権利や委託管理料支払い債務等の義務が帰属します。このように権利義務の帰属先が管理組合法人の場合には、その固有の事務として集会を意思決定機関、理事を代表機関としてその請求や履行ができることは勿論です。
従って、6項の規定は、解釈上管理組合法人ではなく区分所有者に権利・義務が帰属するものについての代理権を定めたものです。

このように代理権を与える場合、この法定代理権の範囲が確定していることが取引の安全には重要ですから、この代理をする場合に理事の共同代理が必要とか、一定金額以上は別箇の承認が必要とか各種の制限を付することもできますが、その制限が善意の第三者(取引の相手方)に主張できないとすべきことも、管理者の場合(26条3項)と同様ですから、この旨新法で追加されました(7項)。

8.訴訟担当
更に、管理者はその職務に関して区分所有者のため訴訟担当者となりうることが認められていますが(26条4項)、これは裁判外での代理権の行使の実態を裁判上でも貫徹させようとするものですから(法令上の訴訟代理人としてもよかったのでしょうが、その場合は本人たる区分所有者の訴訟追行権と衝突して多数の意思の実現が困難となることが予想されます。)、この点は管理組合法人に代理権を与える場合も同様といえます。
そこで、新法では管理組合法人にもその事務(職務)に関して区分所有者のため訴訟担当者となりうることが認められました(8項)。
担当者としての地位は、管理規約または個別の集会決議で付与されますが、規約で包括的に付与した場合に、個別の訴訟事件が発生したらその旨区分所有者に通知が必要なことも管理者の場合(26条5項)と同様となっています(9項)。
この結果、管理組合法人自体に帰属する権利義務に関する訴訟は当該法人本人として、区分所有者に帰属する権利義務(その取扱いが法人の事務の範囲にあるものに限る。)については訴訟担当者として訴訟の当事者になれることになります(管理者の場合は管理者本人の責任に関する訴訟でない限りは、全て訴訟担当または法人でない管理組合の代表者としての立場であるのと異なります。)。

9.民法等の準用
管理組合法人は社団法人の一種ですから、社団法人の原則規定である民法典の規定が広く準用されますが、民法典から法人の箇所が独立法典としての「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(広義では民法を構成する法律の一つです。)に移されました。そのため旧法の準用法典名が修正されましたが、内容に変更はありません。
一般法人法第4条は法人の住所が主たる事務所にある旨規定します。管理組合は一棟の区分建物の管理主体のため従たる事務所があることは想定できませんが、設立登記で主たる事務所地とした地に住所があることになります。通常は区分建物の所在地となるでしょう。
旧10項(旧旧7項)では、法人はその設立の目的の範囲内で権利能力を有するとする民法43条、法人は理事が職務を行うにつき他人に与えた損害の賠償義務を負うという第44条、法人の住所はその主たる事務所の所在地にあるとする第50条及び財産目録および社員名簿に関する第51条の規定が管理組合法人に準用されることとなっていますが当然のことです。
一般法人法第78条は、民法第44条の移管後の規定で法人の代表者の不法行為責任の規定です。法人代表者の行為が法人の行為となるのですから、不法行為であっても同様です。代表者の行為で利益を得ればそれを享受し、不利益の場合は拒絶するのは法人格の濫用というべきでしょう。 なお、これらことは当該団体が社団であることからの結論ですから、法人化前の管理組合でもそれが社団であれば当然準用される規定です。
民法第43条の法人の権利能力の準用はなくなりましたが、その提要がなくなったわけではなく、民法第43条の法人の権利能力は法人の本質規定ですからあえて準用するまでも無いということで規定しなくなったと理解すべきです。
また、財産目録および社員名簿の準用規定は一般法人法制定により、一般法人法の条文の準用より区分法での規定の方が望ましいため、区分法第48条の2に新規条文として移されました。

更に、破産手続き開始の原因(理由)である破産原因について管理組合法人には破産法(大正十一年法律第七十一号第127条2項の規定が新生の破産法(平成十六年法律第七十五号)第16条第2項に移されました)が準用され、債務超過を管理組合法人の存続中は排除していますから、管理組合法人が存続中は他の二つの破産原因である支払不能と支払停止がなければ破産にはなりません。
このように管理組合法人において債務超過が破産原因から除外されるのは、合名・合資会社の場合と同様、当該法人には無限責任の構成員がいるため法人会計において債務が超過してもすぐに清算しなくとも債権者保護に支障がなく、それよりも法人継続による構成員保護の方が優先されるという理由によります。
この規定の存在から管理組合法人には破産能力自体は肯定されていることがわかります。

10.管理者条項の読み替え
管理組合法人には、その執行機関として理事が常設されますから、管理組合の当該機関である管理者は必要がなくなります。
そのため、第4節の管理者の各条は適用の余地がなくなり、第5節の規約および集会の各条項のうち管理者という文言は理事という文言に読み替えられて管理組合法人に適用されることになります。
11項・12項(旧8項・9項)はこのような事項の確認規定です。

11.税法の取り扱い
管理組合法人はその目的から本来的に非営利法人ですから、法人税法および消費税法上は公益法人(法人税法2条6号、消費税法別表第3)に該当するものとされますが、収益事業に関しては普通法人の取扱いを受けるものとされています。
この点は、管理組合も人格のない社団等(法人税法2条8号、消費税法2条7号)として法人の取り扱いを受け、収益事業に関しては普通法人並の取扱を受けることと同様です。

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