(事務の報告)
第四十三条 管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。

1.43条の趣旨
43条は管理者の報告義務の関する規定です。
管理者は委任者管理組合に対する受任者の立場にありますから、その受任業務を誠実に実行する義務があり(28条、民法644条)、その内容には適時委任者に業務執行の状況を報告する義務も当然含まれます(民法645条)。
43条はそのような管理者の義務の存在を前提に、その具体的内容として報告の場を集会、周期を毎年一回一定の時期と定めたものです。

2.報告内容
43条に定める報告義務の内容は管理者の事務に関するものですから管理者業務全般がこれにあたります。
具体的には組合運営および建物管理の両面における当年度の業務計画に沿って実行した業務の成果や結果、突発事項等の業務計画外事項、次年度業務計画およひ当年度予算の実行報告、決算、次年度予算等の報告がこれに該当するでしょう。

3.他の報告義務
なお、報告義務に関しては他に26条5項で規約の定めにより原告または被告となったときの区分所有者への報告義務が定められておりますが、管理者の報告義務はこれらに尽きるものではなく事件、事故、共用部分の工事、危険箇所の発見その他による使用制限や注意事項等管理組合の運営または共用部分等の保存管理上区分所有者に伝達すべき事項については当然に適宜報告すべき義務があります。
更に、その内容が集会決議が必要な場合には臨時集会の招集義務も認められるでしょう。
従って、43条の毎年一回一定の時期にというのも、少なくとも毎年一回一定の時期に報告し、且つ必要があれば適宜報告しなければならない、という趣旨を当然に含意したものであり、年1回報告すれば義務を全部履行したというわけではありません。

inserted by FC2 system