(集会の招集)
第三十四条 集会は、管理者が招集する。
2 管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
3 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
4 前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。
5 管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。

1.集会
34条は集会の召集に関する規定です。
この集会を一般には総会と称していますが、総会という名称が団体性のはっきりした社団等の議決機関という性格を帯びたものである一方、区分法では区分所有者団体の社団性に冷淡であることも反映して総会ではなく区分所有者個々人の一時的な集合体というイメージの集会という名称を用いています。
しかし、区分所有者団体たる管理組合は社団と解すべきですから集会を総会と理解して問題はありません。

2.集会の召集
このように集会とは、区分法や規約に定める事項を決定する権限を有する社団たる管理組合の最高の意思決定機関・議決機関です。
ただし、集会も国会や株主総会等の他の議決機関と同様に恒常的に活動する機関ではなく、一定の召集権者の招集により活動能力を取得し、会議の終了により活動を終了する非常設機関となっています。
そのため、誰が召集権者であり、招集権者がどのような方法で集会を召集するのかが重要な事項となります。34条はこのうちの召集権者に関する規定です。

3.管理者による召集
ここで、集会の召集はまず管理者にその権限が認められています。
管理者は組合の事務を執行し、組合を代表する代表機関であり、集会の召集も組合事務の執行の一環ですから召集権を管理者に認めることは当然といえます。

なお、2項では、管理者は少なくとも毎年1回集会を召集しなければならないとして管理者に召集義務を課しています。
これは集会がその有する管理者の解任権(25条)や報告聴取権(43条)等により管理者の監督機関でもあることから(組合内部の委任関係にあっては受任者たる管理者に対する委任者たる本人の立場に集会が相当します。)、少なくとも年1回は管理者の業務執行の監督の実を挙げる機会を保証しようとするものです。
従って、管理者がいない場合には年1回の集会召集義務はありません。

ただし、実務上は会計期間を1年とする予算制度で管理組合が運営されていることが多く、予算や決算の審議のために毎年定期に定期総会が招集されているのが一般であり、管理者(通常は理事長)の監督についてもその機会に行われます。

4.少数区分所有者の召集の趣旨
召集権者の第2番目は、少数区分所有者の召集権です。
一般に、第一順位の召集権者のみに召集権を認める例は少なく第二順位の召集権者またはそれに代わる召集義務を定めるのが通常です。
上記のとおり召集は集会を活動させる唯一の手段ですが、第一順位の召集権者が自己の意向に沿わない議題である等の理由により召集しない場合には管理組合の意思決定に必要な集会の成立が不可能となります。
そのための対処として、管理者の召集に代わる少数区分所有者の召集権を認めたのが3項及び4項の規定です。

5.少数区分所有者の召集の方法
この規定による少数区分所有者の召集権の要件は二段階に分かれています。

まず、少数区分所有者に管理者に対する会議の目的(議題)を示した集会の召集請求権を認めます(3項)、この請求により管理者が所定の期間内(二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集)に召集しなかった場合には自ら招集できることとしています(4項)。

少数区分所有者が自ら招集する場合には、その請求の日から四週間以内の日には縛られず、別途召集手続きを踏む必要のあることは当然です。

ここで、少数区分所有者の定数は区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上の者とされ、この要件を満たせば実際の人数は1人であろうと何人であろうと、この条項の少数区分所有者となります
。 あまり大きな定数を設けると実際上召集が不可能になって少数区分所有者の召集権を認める意味がなくなりますし、あまり少ない定数では濫用的な召集を防止できず問題ですから、その調和点を1/5としたものがこの規定の趣旨です。

ただ、この定数は区分法が具体的な区分建物の区分所有者数やその議決権の分布状況を無視して定めておりますから、これでも実際上召集が不可能または相当に困難なケースがありえます。
そのため、規約でこの定数を更に減じる(緩和する)ことが認められており、定数を減じる方法は、区分所有者数と議決権の一方または双方を1/5より減じる方法のほか、区分所有者数と議決権の一方のみを要件とすることも可能と考えられます。
しかし、少数区分所有者制度には少数権利者らによる濫用防止の目的がありますから、単独召集権は認めないのが区分法の趣旨のようです。

6.全員出席集会
召集権者の第3番目は、全員出席集会(36条)の場合です。
全員出席集会の場合にはそもそも召集手続きが必要ありませんから召集権者も不要ともいえます。
しかし、召集を集会の活動能力取得の要件とする場合には全員が集まった時点で集会の活動能力が取得それるのですから、全員出席集会における全員も召集権者の一つと考えられます。

7.管理者がいない場合の召集
以上は、管理者がいる場合の召集ですが、管理者がいない場合には少数区分所有者および全員出席集会が集会の召集を行うことになり、その場合の方法等は上記と同様です(5項)。

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