(公正証書による規約の設定)
第三十二条 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第四条第二項、第五条第一項並びに第二十二条第一項ただし書及び第二項ただし書(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)の規約を設定することができる。

1.公正証書規約
32条は、公正証書規約に関する規定です。
規約は原則として、31条の集会の決議または45条の書面決議で作成されるのが通常です。
規約はもともと区分所有者団体のルールであり、専有部分を含む1棟の建物の管理・使用に関する規定なのですから、その作成には当然に複数者の存在を予定し、それらの者の共同的な合意という合同行為によって成立するものであるからです。
ところが、規約の相対的記載事項の中には各区分建物の敷地権割合等のように建物竣工と同時または分譲開始前の購入者が存在しない段階で決定しておく必要のある項目が含まれておりますから、区分建物を含む1棟の建物が分譲業者の単独所有の段階でこれらを決定できるようにしなければ、円滑な分譲が望めません。
そこで、本来合同行為であるべき規約作成に関し、例外的に単独行為による作成を認めたものが32条の規定です。

2.規定内容の制限
ただし、団体の組織や内部規定等当事者自治に基づき当事者が自主的に形成すべき事項は分譲者が単独で決定するのは好ましくないため、単独行為で認められる事項は分譲に必要最低限と思われる次の4項目に限られます。

@4条2項の規約共用部分の設定、A5条1項の規約敷地の設定、B22条1項但書の敷地利用権の分離処分の許容、C同2項但書の敷地利用権の割合の特段の定め

また、当該項目自体も多数の区分所有者の利害にかかわる重要事項であることから、その成立および内容を分譲者が恣意的に変更することを回避するため、それらを公に確認する手段として公正証書によらなければ効力がないものとして区分所有者の利益保護を図っています。

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