(共用部分に関する規定の準用)
第二十一条 建物の敷地又は共用部分以外の附属施設(これらに関する権利を含む。)が区分所有者の共有に属する場合には、第十七条から第十九条までの規定は、その敷地又は附属施設に準用する。

1.準用の対象 21条は、敷地と共用部分以外の附属施設について17条の管理、18条の変更、19条の負担と利益の規定がそれぞれ準用される旨の規定です。

区分法では、共用部分として専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物を定義することにより(2条4号)、建物内の設備関係も含めて共用部分に網羅し、民法の特則としての取扱いを17条から19条に規定しておりますから、管理組合や区分所有者間において残る問題は付属施設と敷地及び債権等の財産関係となります。

2.敷地の場合 このうち、敷地は区分所有者個人の財産であり、専有部分と同じ性格の資産ですが、共同で管理・変更するものではないため総会で管理・変更等を決定するものでは有りませんから17条から19条の適用云々の問題は発生しません。
従って、敷地の権利関係は区分法の団体的処理には馴染まず、民法の適用を受ける関係といえます。

3.付属施設の場合 そこで、後に残るのは付属施設と債権関係ですが、このうち付属施設はその存在意義は共用部分と同様に区分所有者全員の便益に供されることにあるのですから、共有の場合には共有関係に伴う管理や処分・変更行為の実施について他の共有者間との団体的共同が必要なことは共用部分の場合と同様です。

従って、その場合の多数決要件等も、民法のように単に持分で且つ変更等に全員の合意が必要とすることは実態に合うとはいえませんから、付属施設については共用部分の場合と同様の取扱いをすべき必要性と合理性が認められます。

このように付属施設については共用部分の取扱いと同様に取り扱うのが妥当であり、仮にこの規定がなくとも民法の規定を適用するのではなく、区分法の17条から19条の規定を類推適用すべきですから、このことを正面から認めたのが本条の準用の趣旨といえます。

なお、本条で付属施設とは、前述の共用部分(2条4号)以外のものですから、機械式駐車施設・駐輪施設等外構の諸施設および規約共用から洩れた附属の建物およびそれらの附属物を言うものと思われます。

4.債権の場合 最後の債権関係に関しては、21条に規定がありません。区分所有者の間に21条に定める物的権利関係以外に債権的権利関係が生じることは明らかですから、何らかの規定を置くべきであるとも思います。
しかし、債権の場合はその発生原因が様々であり、そのためもあってか団体ないし全員に総体的に帰属するものから個人に帰属するものまで様々のものが予想されます。

例えば、管理費・積立金や各種使用料等の組合対個人の関係で発生する債権は団体に帰属し、団体的処理に適するものといえますが、個人財産である敷地の収用対価や補償料は個人に、また共有の共用部分や付属施設は団体に帰属するともいえる半面専有部分との一体性の原則にもあるように個人財産としての性格もあり、こと交換価値という面では個人財産性が勝るというべきでしょうから、共用部分の瑕疵や損害による交換価値の減少補償の賠償金は個人に帰属する債権といえます。

このように、債権関係に関するこの法の沈黙は単なる規定の失念という訳ではなくケースバイケースの処理が必要な事項にため一律的な規定が馴染まないとして解釈に任せたものと考えるべきでしょう。
従って、区分法に規定がないからすべて民法の原則によるという考え方には賛成できません。 inserted by FC2 system