(一部共用部分の管理)
第十六条 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。

第16条は、一部共用部分の管理の管理の特則を定めた規定です。
一部共用部分は一部の者のみの共有に属しますから所有者の責任として当該一部共有者のみの責任と負担で管理するのが原則です。
しかし、このように全体管理組合と一部管理組合が並存して各々の管理対象を管理するのは組織が重複して不経済でもありますから全部全体管理組合が管理することにしても当事者がそれを望むならかまわないわけですし、反面一部共用部分の管理が全体に影響を与える場合には全体の利益のためには一部共有者が勝手に管理することは全体に迷惑損害を与える虞がありますので、それを未然に防止するため初めから全体管理組合で管理する必要もあります。
このような理由により、16条で一部共用部分の管理の管理組合への強制移管と任意移管を規定しています。

ところで、一部共用部分とは一部の者のみの共用に供されることが明らかである部分(3条後段)とされますが、具体的にどのようなものがそれに該当するのかよく分かりません。
考えうる事例としては駐車場は3方が閉じられていれば区分建物登記が可能ですので地下駐車場の3方が閉じられたブース単位で区分登記すれば車路が駐車場のみの一部共用となり、駐車場の消防設備等が全員の利害に関係するものとしてその管理が管理組合に強制移管されることですが、通常のマンションでは各階の廊下といってもその階だけの共用とされることが明らかかは疑問がありますので、一般にはあまり利用されない規定のようです。

なお、強制管理の場合は本条で強制的に管理が可能ですが、任意管理の場合は規約でその旨(管理対象範囲に明記するだけですが。)記載する必要があり、且つその規約設定・変更には一部共用部分の共有者の議決権及び員数の1/4を超える反対があるときはできないこととして(法31条2項)一部共有者の意思も尊重しています。

本条による管理移管で管理組合に当該一部共用部分の管理権限が生じますが、その場合の管理費用は本来の負担者である当該一部共用部分の一部共有者の負担のままであることが原則でしょう。

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