(共用部分の使用)
第十三条 各共有者は、共用部分をその用方に従つて使用することができる。

第13条は使用方法に関する規定です。
民法249条では共有物の全部につき持分に応じた使用ができると定めていますからその特則ということになります。
民法が対象とするのは1個の物であり、1個の一部の使用というのも通常考えにくく、誰かが使用すれば他の人はその間使用できなくなるのが原則です。
そのため持分に基づく使用権は持分割合によるとして公平を保つ考えに立っています。
しかし、共用部分は通常共同使用が可能な部分であり、持分に応じた使用とする必要性もなく又そうした結果は妥当でもありません。
従って、各区分所有者は持分の多寡にかかわらず共用部分を使用することができるとするのがこの規定の趣旨です。
なお、用方とはその物の本来的な目的・性質・用途により定まった使用方法という意味ですから、この点は民法249条でも当然のことです。

ところで、用方に従った使用とは玄関を玄関、廊下を廊下、壁を壁として使用するということであり、その意味では至極常識的で当然の規定ですが、共用部分の多様性からも用法の内容が必ずしも一義的に明確なものとはいえません。
しかし、共用部分は専有部分の便益のための部分ですから共同の利益を害しない限り専有部分の便益に資する方向でその用法を決定するのが望ましいと思われます。
従って、特定の専有部分を構成し又はそれに隣接する床・壁・天井・ドア・窓等の障壁の用法は当該専有部分の十全たる使用に支障がない範囲(壁に額や時計をビス留めし、床にカーペットをビス留めする等)に及び、エントランス・エレベーター・屋上等の用法は建物の全体としての専有部分の十全な使用に支障がない範囲(共用部分を通してインターネットの配線を行う等)に及ぶと思われます。
以上のように解しても用法の理解の多様性や各自が勝手に共用部分を使用することによる混乱を防止するため、一定の事項を管理組合の承諾事項とできることは勿論です。

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