H02.11.26 最高裁判所 平成2(オ)701号 総会決議無効確認請求事件の解説

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この事件は、区分所有法四七条二項の管理組合法人の理事会への理事の代理出席を認める規約の定めが違法でないとされた事例である。
本判決の要旨は、区分所有法四七条二項の管理組合法人の規約中、「理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、その理事を代理して理事会に出席させることができる」旨を定めた条項は、違法でない、というものである。 この結論から、このとおりの規約が適法であることはもちろんであるが、このように代理を一定の場合に制限する必要があるかというと、判決では、「複数の理事を置くか否か、代表権のない理事を置くか否か(法四九条四項)、複数の理事を置いた場合の意思決定を理事会によって行うか否か、更には、理事会を設けた場合の出席の要否及び議決権の行使の方法について、法は、これを自治的規範である規約に委ねているものと解するのが相当である。すなわち、規約において、代表権を有する理事を定め、その事務の執行を補佐、監督するために代表権のない理事を定め、これらの者による理事会を設けることも、理事会における出席及び議決権の行使について代理の可否、その要件及び被選任者の範囲を定めることも、可能というべきである。」として、規約に白紙委任(規約自治、規約自由)しており、結局管理組合の場合は規約で定めればどのように定めようと問題がないとしているのであるから、一定の場合に制限する必要はないといえる。
社団法人の理事、株式会社の取締役等のようにその人物の地位能力等を信頼してその立場に就ける場合と、管理組合の役員の場合とでは選任する人たちの信頼の置場が異なるように思われる。区分所有名義人の夫は信用できるが同居の妻は信用できないということはなく、この意味で夫と同視しうる立場の人が業務を代行しても信頼が裏切られたとは思われないのではなかろうか。
本人の欠席より、本人に代わる代理を認める方が組合活動の円滑化によいであろうし、より積極的に考えるなら理事の資格をそこまで広げることも考えうるのではないだろうか。 inserted by FC2 system